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事例:冷凍サイクルの自動制御

目的

 このケーススタディでは、Flownexの機能を紹介する目的で、冷凍サイクルの自動制御のモデルを作成して過渡解析を行なっています。実機に基づいて作成したものではありません。
 冷凍サイクルに含まれる機器は、圧縮機、凝縮器、温度膨張弁、および蒸発器です。これらの機器は配管で接続されています。冷媒はR404Aです。圧縮機の回転数と膨張弁の開度はそれぞれPIDコントローラで制御されており、制御間の相互作用を考慮する必要があります。ここでは外乱が与えられた場合の自動制御のロバスト性を確認します。

Flownexによるモデル化

 Flownexによる単段蒸気圧縮式冷凍サイクルのモデルを図 1に示します。

pidr_fig1.png
図 1 単段蒸気圧縮式冷凍サイクル

 各装置について説明します。

(1)圧縮機

 圧縮機は定常運転時の回転数を2400rpmとして上限値と下限値を設定しています。また、圧縮過程を等エントロピー効率0.9として、体積効率を0.9としています。
 圧縮機の回転数は蒸発器の空気側出口温度(吹き出し温度)の変化を計測しながらPIDで制御されます。

(2)熱交換器

 ここでは凝縮器と蒸発器に向流式のフィンチューブ式熱交換器を使用します。Flownexのフィンチューブ式熱交換器の模式図を図 2に示します。また、性能曲線を図 3に示します。グラフの横軸がレイノルズ数、青線がColburn j-factor、赤線が摩擦係数です。2つの熱交換器はそれぞれ空気と熱交換を行ないます。

pidr_fig2.png
図 2 フィンチューブ式熱交換器

pidr_fig3.png
図 3 熱交換器の性能曲線

(3)温度膨張弁

 口径、流出係数等を設定しています。膨張弁の開度は蒸発器の冷媒側出口温度(過熱度)の変化を計測しながらPIDで制御されます。

(4)PIDコントローラ

 PIDコントローラによって圧縮機の回転数と膨張弁の開度を調節しています。それぞれ冷媒の流量に関係しています。回転数の調節は蒸発器の空気側出口温度を一定の範囲に保つことを目的とします。開度の調節は過熱度を一定の範囲に保って液バック(圧縮機に液体が入ること)を防止するために行ないます。比例ゲイン、積分時間、微分時間、不感帯、出力変化率等を設定しています。

(5)配管

 長さ、内径、肉厚、内部表面粗さ等を設定しています。熱負荷を設定することもできます。

T-s線図

 この冷凍サイクルのT-s線図を図 4に示します。横軸が比エントロピー(kJ/kg.K)、縦軸が温度(℃)です。背景の赤線の領域が気体(過熱蒸気)、青線の領域が液体(過冷却液)、緑線の領域が二相流体(湿り蒸気)です。定常状態でサイクルの位置や形状を確認しながら、各部の圧力・温度・流量等を調整する必要があります。

pidr_fig4.png
図 4 T-s線図

定常解析

 凝縮器のフィン側の温度分布を図 5に示します。

refrigeration_fin.png
図 5 凝縮器の温度分布

 凝縮器の空気側入口温度が25℃から35℃まで変化する場合の成績係数(h:凝縮器、r:蒸発器)の感度分析の結果を図 6に示します。

refrigeration_parametric.png
図 6 成績係数の感度分析

過渡解析

 過渡解析のシナリオ(図 7)を以下に示します。

  1. シミュレーション開始直後(0秒後)、定常解析の境界条件を解除する。
  2. 5秒後、2つのPIDコントローラの制御をマニュアルからオートに変更する。
  3. 10秒後、蒸発器の空気側入口温度が 0.15℃/secの速度で 26.5℃まで上昇し始める。
  4. 40秒後、蒸発器の空気側入口温度が -0.05℃/secの速度で 25℃まで下降し始める。
pidr_fig5.png
図 7 シナリオ設定

結果と考察

 過渡解析の結果を図 8図 9に示します。
 図 8は横軸が時間、青線が圧縮機の回転数、赤線が蒸発器の空気側出口温度、緑線が空気側出口温度の設定値、黒線が空気側入口温度、橙線が冷房時の成績係数(COPr)です。

pidr_fig6.png
図 8 圧縮機の回転数と空気側出口温度

 図 9は横軸が時間、青線が膨張弁の口径、赤線が蒸発器の冷媒側出口温度(過熱度)、緑線が過熱度の設定値、橙線が冷媒の蒸発圧力です。

pidr_fig7.png
図 9 膨張弁の開度と過熱度

 図 8を見ると、空気側入口温度の上昇に伴って空気側出口温度も上昇します。そのため圧縮機の回転数が緩やかに上昇しています。成績係数は圧縮機の動力の上昇に伴って全体的に下降する傾向がみられますが、膨張弁の開度(図 9)の影響を受けて変動しています。60秒以降は空気側出口温度が下降傾向になるため、圧縮機の回転数も下降しています。
 図 9を見ると、過熱度の変動を追従するように膨張弁の開度が調節されていることがわかります。また、開度の調節が蒸発圧力に大きな影響を与えていないことが確認できます。
 参考のため、膨張弁の開度を調節しない場合の空気側出口温度の変化(図 10)と過熱度の変化(図 11)を示します。圧縮機の回転数の調節によって空気側出口温度は安定しますが、過熱度は下降し続けて液バックのリスクが高くなります。

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図 10 圧縮機の回転数と空気側出口温度

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図 11 膨張弁の開度と過熱度

まとめ

 このケーススタディでは、Flownexの機能を紹介する目的で、単段蒸気圧縮式冷凍サイクルの自動制御のシミュレーションを行ないました。蒸発器の空気側入口温度に外乱を与えた場合でも、PIDコントローラによって圧縮機の回転数と膨張弁の開度が適切に調節されていることを確認しました。



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