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FLC

flc

複合材構造物の疲労寿命予測システム
Fatigue Life of Composite structures based on ATM

 新しい材料の開発が技術革新に繋がった事例は数多くあります。技術進歩の歴史は材料の歴史と言っても過言ではないでしょう。
 軽くて強度の高い複合材料は航空機の発達に多大な影響を及ぼしております。1975年には米国航空宇宙局(NASA)が研究的にB727やB737の昇降舵、DC10の尾翼の1部に複合材を利用し、金属材料に対し約30%の軽量化に成功しました。その後、米国ボーイング社のB777は1次構造材として尾翼やフロアビームに高靭性CFRPが採用されました。また、エアバス社では1988年に就航したA320には、2次構造材の他に1次構造材として尾翼に採用され、その後A330やA340にも全重量の12%に複合材が採用されております。

CBIMG001.png flc1.png国産旅客機プロジェクト
自然曝露環境下における30年以上の長期耐久性予測

 他方、航空機以外にもH-ⅡAロケットや自動車、新幹線などにも少しずつ使われており全重量の割合も年々増加しております。CFRPは乗物以外にもスポーツ用品、様々な電子部品などに使われており、その利用範囲は増え続けております。

flc2.png flc3.png flc4.png flc5.png
自動車 風力発電 体育館の屋根 ゴルフ用品

 flc(複合材構造物の疲労寿命予測システム)はこのように複合材料構造物の利用が拡大する中で、構造設計に重要な疲労寿命予測を行うシステムであります。

 flcは'JAXA宇宙オープンラボ'(現、JAXAオープンラボ公募)にて2008年度~2010年度の3年間、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、金沢工業大学(KIT)及び(株)計算力学研究センター(RCCM)の共同研究成果を活用して商品化したソフトウェアです。

flcの特徴

  • 複合材構造物に実際の外圧、振動、温度などの負荷を受けた時の耐用年数を予測することが可能です。
  • MMF/ATMによるCFRP構造物の長期強度の予測手法を採用
  • flc7.png

  • マスターカーブや疲労パラメータなどは自動計算
  • 幾つかのCFRP材料の材料試験データ(データ・ベース)を有します。
    ユーザーが新たに追加することも可能です。
  • 専用のGUIにより入力、可視化表示機能があり利便性を考慮
    MMF:
    Micro Mechanics of Failure
    マイクロメカニクスに基づく破壊理論によるCFRPの破壊予測手法
    ATM:
    Accelerated Testing Methodology
    マトリックス樹脂の粘弾性変形に基づく力学挙動に成立する時間-温度換算則を基盤とする加速試験法

MMF/ATMによるCFRP構造物の長期強度の予測手順

下図にMMF/ATMによるCFRP構造物の長期強度の予測手順を示す。

  1. 一方向CFRPの強度特性からCFRPの4つのMMF/ATMパラメータである繊維と樹脂の引張と圧縮強度を決定する。
  2. CFRP構造物の応力をFEM解析により算出して、応力集中部を特定し積層各層の応力を求める。
  3. MMFによって繊維と樹脂内部の4つの発生応力を求める。
  4. 発生応力と強度の比である4つの破壊指数を求めて破壊の判定を行う。

 flc8.png

図 MMF/ATMの予測手順

 CFRP構造物に荷重や温度の負荷が加わった場合に、どの場所のどの層でどのような破壊様式で破壊するか、また何時破壊するかを評価することができます。

検証例

オープンホールモデルの圧縮試験(OHC)との比較

flc9.png
条件
 静的荷重条件
 T = 25℃
 V = 0.01mm/min
 積層条件
 [45/0/-45/90]2S
flc10.png



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