表面張力と液滴振動
By J.Aono
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表面張力とは?
液相の分子間力によって,液相の表面が収縮して,可能な限り小さな面積となるように力が働くことを表面張力といいます. 異なる相を扱う場合に表面張力が重要になる場合があります.
VOFモデル
ANSYS Fluentで混相流の計算をする場合にVOFモデルがよく使われます.VOFモデルは解析領域全体にわたって気相と液相の体積分率の輸送方程式を解くことにより非混合流体のモデル化を行います.
体積分率の式です.
$$ \frac{1}{\rho_q} [\frac{\partial}{\partial t} + \nabla \bullet ( \alpha_q \rho_q \overrightarrow{v_q} ) =S_{\alpha_q} ] \label{eq1}\tag{1} $$
ここで,$\alpha_q$はq番目の相の体積分率です.表面張力は$S_{\alpha_q}$としてソース項に含まれます.今回は表面張力は連続体表面力(CSF)モデルを使います.CSFモデルは下記のように表されます.
$$
S_{\alpha}=\sigma_{ij} \frac{\rho \kappa_i \nabla \alpha_i}{0.5 (\rho_i + \rho_j)}
\label{eq2}\tag{2}
$$
ここで,$\rho$は混合密度,$\kappa$は曲率,$\sigma_{ij}$は表面張力です.
表面張力を使った例題
表面張力を使った例題の一つに液滴の振動問題があります.楕円形の液相を初期値として配置し,表面張力により,液相が円形に変形しますが、慣性力により,円形から楕円形に変化する問題です. まず、Fluentで楕円形の液相を配置する方法の一つとして,UDFを使う方法があります.UDFは下記のものをつかいます.コンパイルしたあと,初期値の設定の部分にフックします.
DEFINE_INIT(cosine_init_function,domain)
{
Thread *t;
Thread **pt;
Thread **st;
cell_t c;
Domain *pDomain = DOMAIN_SUB_DOMAIN(domain,P_PHASE);
Domain *sDomain = DOMAIN_SUB_DOMAIN(domain,S_PHASE);
real xc[ND_ND], y, x;
mp_thread_loop_c (t,domain,pt)
if (FLUID_THREAD_P(t))
{
Thread *tp = pt[P_PHASE];
begin_c_loop (c,t)
{
C_CENTROID(xc,c,t);
x = xc[0];
y = xc[1];
if( (x-0.50)*(x-0.50)/0.20/0.20 + (y-0.50)*(y-0.50)/0.120/0.120 < 1.0)
C_VOF(c,tp) = P1;
else
C_VOF(c,tp) = P2;
}
end_c_loop (c,t)
}
mp_thread_loop_c (t,domain,st)
if (FLUID_THREAD_P(t))
{
Thread *sp = st[S_PHASE];
begin_c_loop (c,t)
{
C_CENTROID(xc,c,t);
x = xc[0];
y = xc[1];
if( (x-0.50)*(x-0.50)/0.20/0.20 + (y-0.50)*(y-0.50)/0.120/0.120 < 1.0)
C_VOF(c,sp) = P2;
else
C_VOF(c,sp) = P1;
}
end_c_loop (c,t)
}
}
上記の設定を行い,Fluentで初期化すると,液相が楕円形で初期化さます.体積分率のコンター図で赤い部分が液相で,青い部分が気相です.
Fluentで非定常計算を実施すると下記のように液滴が,横長の楕円形→円形→縦長の楕円形→横長の楕円形に変化することが確認できます.
弊社の解析事例
弊社の流体解析事例については、下記のリンクからご覧ください.