流体-構造物相互作用(FSI)問題
By M.Yamamoto
TurekとHronのベンチマーク問題
よく利用されているFSI検証問題に、TurekとHronの
“Proposal for Numerical Benchmarcking of Fluid-Structure Interaction between an Elastic Object and Laminar Incompressible Flow”1
というものがあります。
以下のような2次元領域が対象です(図表式等の引用は上記資料からです)。
上のFig.1およびFig.2のサイズ条件は次のTable 1の通りです。
テスト条件はいくつかあり、例えば次のTable 12のものがあります。
Turekらは完全陰、monolithic ALE-FEM法で問題を扱っています。
カルマン渦
ここで、例えばTable12のFSI2の条件を対象にするとしますと、 レイノルズ数Reは100となります。
この値ですとカルマン渦の生成が見込まれます。
Fig.1の円後部の弾性体を除いた、円のみの計算をANSYS Fluentで行ってみます。 以下のように速度コンターが得られました。
渦が発生しているようです。
流体‐構造物 相互作用問題
このような状況の下で、円の後方に弾性体を取り付けるとどのような挙動を示すのでしょうか?
ANSYS Workbenchでは、図2.のように、 プロジェクト概念図に弾性体(時刻歴応答構造)と流体(Fluent)を配置して、 更にシステムカップリングを利用して、両者をコントロールして計算します。
システムカップリングでは、図3.に示しますように、 A7:弾性体(時刻歴応答構造)の「流体と固体の境界面」とA11:流体(Fluent)の「int」 (ここでは弾性体との接触面の名前)の間にデータ転送を定義します。
これによりA15:Data Transfer;流体から構造へのデータ転送(力の受け渡し)と、 A16:Data Transfer 2;構造から流体へのデータ転送(変位の受け渡し)が設定されます。
このような設定の下、流体と構造物の交互の反復計算が実行されます(図4.参照)。
このように計算を実行して、ポスト処理を行うと、 図5.のように、はためく弾性体の結果を得ます。
この図では、流体は速度、弾性体はミーゼス応力のコンターを表示しています。変形は実スケールです。
まとめ
Ansys Workbenchのシステムカップリング機能を利用して、流体と構造物との相互作用問題(2way FSI)を実施してみました。 簡単な設定で、相互作用問題が取り扱えました。😄
補遺
TurekとHronの資料では、数値情報は記載されていますが、変形図のような視覚的な情報が不詳です。
彼らのベンチマークは多くの人が利用しています。 例えばJuliaの有限要素法ツールボックスであるGridapのFSIアプリケーションであるGridapFSIの例題がFSI2を扱っています。
GitHub - gridapapps/GridapFSI.jl Gridap drivers for fluid-structure interaction applications
これはmonolithicな手法です。そこには円筒後部の弾性体の周期的な振動解のmovieが示されています。
構造流体連成解析の関連情報
本記事の関連情報が下記のリンクにもありますのでご覧ください.
また、本記事の計算をAnsys FluentおよびAnsys Mechanicalを用いて、実際に体験したい場合は、下記にお問い合わせください。
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[Hans-Joachim Bungartz, Michael Shafer (Eds.), “Fkuid-Structure Interaction Modelling, Simulation, Optimisation”, Springer, (2006)(371-385)] ↩︎