撹拌解析システムMAXETARO
By M.Sato
撹拌の流体シミュレーションは、難易度の高い部類のシミュレーションです。
弊社では、撹拌シミュレーションを容易に行えるように、OpenFOAMを使った撹拌解析システムMAXETAROを開発しております。
本記事では、MAXETAROの特徴について紹介します。
メッシュの完全自動生成
撹拌タンクは、一般的にインペラー、接続パイプ、バッフル板などの装置で構成されており、 形状を定義してメッシュを作成するために、多くの工数をかける必要がありました。
MAXETAROではエクセルにパラメータを記述するだけでメッシュを完全に自動生成します。
従来のようなセルゾーンの作成、不連続インターフェイス面の定義、両面壁の生成などの煩雑な作業は一切行う必要はありません。

複数のインペラータイプに対応
撹拌タンクは、対象とする流体の種類、性質により、適切なインペラーを選択する必要があります。
MAXETAROでは、標準で
- パドル翼
- ディスクタービン翼
- ヘリカルリボン翼
を扱うことができます。

パドル翼、ディスクタービン翼については最大3段までの複数段インペラ-とすることも可能です。
また、独自に開発したインペラーを使いたい場合には、ANSYS FluentのMSHファイル形式でそのインペラーを作成しておけば、混ぜたろうにインポートすることができます。
タンク形状と接続パイプ
タンク形状として
- 円筒形タンク
- 矩形タンク
を使用することが可能です。
円筒形タンクの下部に、オプションとして鏡面を設置することもてきます。 現在タンク下部鏡面形状として、平底、楕円底が使用可能です。
タンクには流体を流出入させるためのパイプが接続している場合があります。 MAXETAROでは、タンクの上面、下面、側面に対して最大8本までの流出入パイプを接続することが可能です。

豊富な撹拌モデル
撹拌という操作では
- 複数成分の流体を混合させて均質化させる
- 複数相の流体を非混合の状態で混ぜる
などがあります。
前者は、例えば真水と塩水を混ぜるような場合です。後者は水中に気泡を注入するような場合です。
MAXETAROではこれらの撹拌操作を表現するために複数の撹拌モデルが使えるようになっています。
下のアニメーションは、水とインクを混合させる例です。

インペラーの回転効果のモデル化
撹拌操作を行う際に、インペラーの回転速度を時間と共に変動させたい場合があります。
例えばインペラーを正弦波状に回転移動させたり、逆方向回転させる場合です。
MAXETAROでは任意のインペラーの回転パターンを指定することができます。

また、回転の効果を考慮するために、複数の方法が考えられます。
MAXETAROは、計算条件により
- 単一回転座標系に基づく解析(SRF法)
- 複数基準座標系に基づく解析(MRF法)
- メッシュ自体を回転移動させる方法(スライディングメッシュ法)
を自動的に選択するようになっています。
Fluent形式のメッシュ出力
MAXETAROでは、標準でOpenFOAM形式の入力データを生成するようになっていますが、 OpenFOAMでの解析結果を検討しておきたい場合もあると思います。
MAXETAROではオプションとして、ANSYS Fluentのmsh形式のファイルを出力することも可能なので、 Fluentユーザの方は、Fluentを使い同等の計算を行い、予め計算結果の検証を行うことができます。

ParaView・EnSightを使った可視化
OpenFOAMで得られた計算結果は、オープンソースの ParaViewや、商用の Ansys EnSightを使い可視化することができます。
撹拌タンク内の流れの様子、複数相の流体の混合状態を容易に確認することが可能です。

仮想環境を使った実行
OpenFOAMは基本的に Linux上の実行する必要があります。
弊社ではお客様の利便性を考慮し、OpenFOAMをインストール済みの仮想マシンを提供しています(virtualbox用の仮想マシン)。
そのため、OpenFOAMのインストール作業などを気にせずに直ちに解析に専心することができます。
低コストによる経費節減
OpenFOAMはオープンソースソフトであり、ライセンス費用はかかりません。従って、非常に計算時間のかかる非定常解析などもコストを気にせずに実行することかできます。
お問い合わせ
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