電気機械の設計ツールの現状
By K.Yoshimi
電気機械の設計ツールの現状について調べてみました。 設計現場を実際に見ていないので、本当かどうかは分かりませんが、 下記のような状況とのことです。
電気機械の設計ツールの現状
電気工学の世界では、多くの研究者や研究開発エンジニア、博士課程の学生が、 Matlab(商用の技術計算言語)やオープンソースのFemm (有限要素法の2次元磁場解析ソフトウェアで、既に100万回以上ダウロードされている) を利用して、自分で設計ツールを開発しているとのことです。
すなわち、作業時間の多くをスクリプトやプログラム開発に費やしており、例えば、 設計変数でパラメトライズ化された磁気回路形状(磁石、スロット形状、巻線など)の描画、 電磁場解析の後処理(逆起電力、損失、磁力、効率マップ、インダクタンスのルックアップテーブルなどの計算・作成)、 電磁場モデルの感度解析、最適化ツールとの結合、データの可視化などを自分でスクリプトを書いて実施しているといいます。
さらに、このように開発されたスクリプトは、各部門や研究室で脈々と受け継がれ、門外不出となっており、 電気工学のコミュニティで共有されることはほとんどありません。 結果として、このようなスクリプトは、学術論文のようなピアレビューを受けることもないので 品質・信頼性の問題を抱えているかもしれません。 また、研究員や博士課程の学生が部門や研究室を離れる際に、 十分な引継ぎが行われなかったりすると、知識の移転を十分に行えず、もはやメンテナンスが困難になる状況もあり得ます。
もし、こうしたスクリプト開発やメンテナンス作業から解放されたらどうでしょうか?
電気工学の研究をより効率的に行え、より創造的な仕事に時間を割くことができるようなるはずです。
また、電気機械の革新的なアーキテクチャの開発にのみに集中できるようになるのではないでしょうか?
この問題を解決する一手段は、よく整備され、メンテナンス、サポートが期待できる商用ソフトを導入することです。 例えば、商用のソフトウェアとしては、モーター設計専用ツールの ANSYS Motor-CADなどがあります。 (このソフトは、熱解析と電磁場解析を組み合わて、熱の効率への影響を見ることができます)
また、オープンソースの世界では、このような状況を憂いて、 統一したプラットフォームを作ろうというPYLEECANのような動きもあるようです。
以上、嘘か真か分かりませんが、調査報告でした。