インクジェットの液滴表面張力
By Y.Sasaki
概要
インクジェット印刷の特徴は、インクを微細な液滴として吹きつけ、文字や図柄、色を表現することにあり、 吹きつけられた微細なインクの液滴ひとつひとつの小さなドットが連続したり集積して面を構成することで、 文字やグラフィックを紙の上に表現しているため、 高精度に印刷するには液滴が所定の位置に正確に飛ぶための、正確な吐出技術とインクの性能を決める成分構成が重要になります。
ここでは液滴の表面張力の違いによる射出後の液滴形状についてAnsys Fluentを用いてシミュレーションを実施しました。
モデル
この事例1は、インクジェット吐出モデル形状および境界図に示すようにインクと空気の界面を過渡的に追跡し、 液滴の表面張力を変えた場合の液滴形状の違いを計算しています。
問題の対称性から2次元軸対称としてモデルを簡素化し、メッシュ数=24,600セルで構成されています。
吐出されたインクの毛細管効果を捉えるため表面張力と濡れ角度を規定、ノズル内部の壁面は濡れ性を考慮、ノズルオリフィス周囲は濡れ性がないものとしています。
この計算でのインクを吐出条件を以下にように設定しています。
- 時間= $0$秒では、ノズル内はインクで満たされ、吐出空間は空気で満たされています。
- インクは、インク流入口にユーザー定義関数によりインク速度=$3.58$ m/secで吐出させ、時刻=$10$ μsecで速度=$0$ m/secになるように設定しています。
ユーザー定義関数
#incldue "udf.h"
#include "sg.h"
#include "sg_mphase.h"
#include "flow.h"
#define PI 3.141592654
DEFINE_PROFILE(membrane_speed,th,nv)
/* membrane speed -function name */
/* th - thread */
/* nv - variable number */
{
face_t f;
real x[ND_ND];
real f_time = RP_Get_Real("flow-time");
begin_f_loop (f,th)
{
F_CENTROID(x,f,th);
if (f_time <= 10e-6)
{F_PROFILE(f,th,nv) = 3.58*cos(PI*f_time/30e-6);
}
else
F_PROFILE(f,th,nv) = 0;
}
end_f_loop(f,th)
}
計算物性
| 項目 | 値 | |
|---|---|---|
| 流体1 | 空気 | 粘性係数 = $1.7894\times 10^{{-5}}$ Pa*s |
| 密度 = $1.225$ kg/$m^3$ | ||
| 流体2 | インク | 粘性係数 = $1.003\times 10^{{-3}}$ Pa*s |
| 密度 = $998.2$ kg/$m^3$ | ||
| 表面張力 = $73.5$および$39.0$ dyn/cm |
境界および計算条件
| 項目 | 値 | |
|---|---|---|
| 流入 | ユーザー定義関数による流速規定 | インク(濃度=100%) |
| 流出 | 自由流出(空気・インク) | 圧力 = $101325$ Pa |
| 壁面 | ノズル | ノンスリップ条件 |
| 接触角=$90$° | ||
| ノズルオリフィス | ノンスリップ条件 | |
| 接触角=$175$° | ||
| Scheme | Fractional Step | |
| Gradient | Least Squares Cell Based | |
| Pressure | PRESTO | |
| Momentum | QUICK | |
| Volume Fraction | Geo-Rconstruct | |
| 物理時間 | $30$ μsec |
結果
吐出空間中のインクの挙動の時間経過を体積分率動画で示します。
図の濃赤色はインクの割合100%を表しています。
時刻=$0$秒で吐出されてインクが時間経過とともに液滴に分裂し、表面張力に違いにより分裂挙動が異なることが計算で再現されています。
弊社の解析事例
弊社の流体解析事例については、下記のリンクからご覧ください.
-
Ansys Fluent Tutorial18, Using The VOF Model] ↩︎