サッカーボールを強く蹴るにはどの筋肉を鍛えたらよいか?(1)
By K.Yoshimi
オープンソースのソフトウェアOpenSimは、筋骨格モデルについて
- モデリング
- シミュレーション
- 制御
- 解析
するシステムです。
この記事では、OpenSimに含まれる、各筋肉の強さを調整しながらサッカーボールを蹴る例題を通して、
「サッカーボールを強く蹴るにはどの筋肉を鍛えたらよいか?」について、調べてみます。
OpenSimのインストール
OpenSimのインストーラーは、下記ページから、最新版のインストーラーをダウンロードし、インストールします。
(この記事では、OpenSim 4.3を使用します)
https://simtk.org/projects/opensim
❗
OpenSimはオープンソースの無料のソフトウェアですが、ダウンロードする際には、登録が必要です。
OpenSimの起動
OpenSimのインストールが完了しましたら、OpenSimを起動します。
Windowsであれば、検索ボックスに「OpenSim」と記入すると、OpenSimのアイコンが現れますので、
そのアイコンをクリックして、OpenSimを起動します。

下図は、起動したOpenSimのGUIです。
サッカーボールを蹴る例題
それでは、サッカーボールを蹴る例題を実行してみましょう。
筋骨格モデルを開く
まず、サッカーボールを蹴る例題で使用する「筋骨格モデル」を開きます。
File > Open Model…
から
C:/Users/ユーザ名/Documents/OpenSim/4.3/Models\SoccerKick/
にあるSoccerKickingModel.osimを開きます。
❗
OpenSimの筋骨格モデルファイルの拡張子は「.osim」です。
指定した筋骨格モデルを描画すると、足に筋肉が付いた骸骨が、正にPKを行う状況となっています。
スクリプトのRun
筋骨格モデルにサッカーボールを蹴らせるためのGUIを、PythonスクリプトをRunして、読み込みます。
Scripts > Run…
から、SoccerDemoWithReset.py選択し、Openします。
スクリプトによって作成されたGUIのタブが表示されますが、ビューアが隠れてしまうので、タブのヘッダーをドラッグ&ドロップして、位置を調整します。
下図は、GUIのタブを調整した状態です。
サッカーボールをキック
それでは、サッカーボールをキックしてみましょう。
Kick...ボタンをクリックします。
すると、骸骨がボールをキックし、ボールが転がる様子を見ることができます。

ここで、筋肉の色が、赤色から青色で描画されますが、これは筋肉の興奮度(赤:高い、青:低い)を示しています。
次に、Get Max Speedボタンとクリックすると、ボールの最大速度が表示されます。
この値が、サッカーボールを強く蹴れたかの指標になります。
筋力の調整
この例題で使用されている筋肉は下図のように、主な筋肉のみが存在しています。
この例題では、
- Hamstings (ハムストリング筋):膝を屈曲させる筋
- Rec Fem (大腿直筋):膝を進展させる筋
- Scleus (ヒラメ筋):踵を上げてつま先立ちにする筋
- Tibialis Anterior (前脛骨筋):足先を持ち上げる筋
の力を0~9000(N)の範囲で動かして、キックの威力を見ることができます。
この例題を使用すると、どの筋肉を鍛えれば威力のあるキックができるかのヒントを得ることができます。
例えば、キック力を上げるには、膝を進展させる大腿直筋を鍛えればよいと思われますが、大腿直筋の筋力を大きくし過ぎると、逆に、ボールが減速することが分かります。
おわりに
この記事では、オープンソースのOpenSimに含まれる、サッカーボールをキックする例題を使用して、
どの筋力を鍛えたら、サッカーボールを強く蹴れるかが調べられることが分かりました。
今後は、どの筋力をどう設定したら、ボールの速度を最大化できるかを感度解析や最適化手法を用いて算出したいと思います。
➡️「サッカーボールを強く蹴るにはどの筋肉を鍛えたらよいか?(2)」
➡️「サッカーボールを強く蹴るにはどの筋肉を鍛えたらよいか?(3)」
また、もし、ご自身の足の筋力がどのくらいの強さなのかを測定したい場合は、弊社までお問い合わせください。
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