ANSYS流体解析ソフトウェアのお勧めマシン構成
By K.Yoshimi
ANSYSの流体解析ソフトウェアは、ANSYS FLUENT、 Ansys CFXなどの主要な熱流体解析ソフトを含む形で、 Ansys CFD PremiumやAnsys CFD Enterpriseといったパッケージ商品として販売されています。
ところで、こういったANSYSの流体解析ソフトウェアを導入する際に、どのようなマシン・サーバーを用意すればよいでしょうか?
この記事では、お勧めのマシン構成を紹介します。
お勧めのマシン構成
CPU(プロセッサ)
まず、CPUですが、現在のAnsys製品パッケージの各製品は、追加料金なしで4コアの並列計算が可能です。
したがって、
- 4コア以上のCPU(プロセッサ)
をお勧めします。
💡 必要なコア数の見積方法
一般に、ソルバーの並列化効率は、1コアあたりのセル数が5~10万を下回ると低下し始めます。 したがって、解析したいモデルの規模(セル数)によって、必要なコア数の上限を見積もれます。
📌 例えば、120万セルのモデルを12コアで流すと、1コアあたりのセル数が
120万(セル数)/12(コア)=10万(セル数/コア)となるので、この計算では、コア数を12以上に増やしても、それほど高速化率の上昇は望めないと推測できます。
📌 CPUは、最大並列数より多めに用意する
CPU数が最大並列数と同じマシンでは、最大並列数で並列計算を流している間、他の作業がやり難くなります。
もし、多数のCPUで並列計算を行いたい場合は、 Ansys HPCを必要なだけ、追加で購入する必要があります。
並列用の製品としては、「Ansys HPC」、「Ansys HPC Pack」、「Ansys HPC Workgroup」の3種類があります。
Ansys HPC Pack
Ansys HPC Packは、パック数を増やす毎に、並列コア数が4倍で増加するのでお得です。
| パック数 | コア数 |
|---|---|
| 1 | 8コア |
| 2パック | 32コア |
| 3パック | 128コア |
💡
Ansys HPC Packを1パック購入した場合
4コア(デフォルト) + 8コア(Ansys HPC Pack 1パック) = 12コア
となりの12並列で計算できます。📌
Ansys HPC Packは、パック単位での並列計算となります。 したがって、1パックに含まれる8コアを、4並列計算+4並列計算のように分割することはできません。
もし、並列計算のコア数を分割したい場合は、Ansys HPCを購入する必要があります。📌
Ansys HPC Packを1パック購入した場合は、上記の通り、並列数を分割できませんので、 12コア以上のCPU(プロセッサ)を積んだマシンを用意する必要があります。
Ansys HPC Workgroup
Ansys HPC Workgroupは、プロセス数が16、32、64といった2の倍数のブロック単位で提供され、最大32768プロセスまで増やすことが可能です。
こちらは、任意の並列数に分割して利用できます。
OS(オペレーティングシステム)
Ansys製品パッケージは、OS(オペレーティングシステム)として、WindowsやLinuxをサポートしていますが、どのOSを選んだらよいでしょうか?
➡️ 作業者が慣れたOSを使うのがよいでしょう。
ただし、主に解析計算に特化した、CPU数の多い計算サーバーを用意する場合は、Linuxサーバーになることがよくあります。
📌 ダイレクトモデラーの注意点
形状作成や修正を行うためのダイレクトモデラーであるANSYS SpaceClaimと その後継であるAnsys Discovery Modelingは、いずれもWindowsのみをサポートしていますので、 形状作成用のWindowsマシンを用意する必要があります。
Linuxに関する注意点
📌 Mac OSはサポート外なのでご注意ください。
📌 Ansys製品は、CentOS(Community Enterprise Operating System)をサポートしていますが、 CentOSプロジェクトの終了が発表されています。
その代替として、バージョン「2022 R2」から、Ubuntuをサポートする予定です。
RAMメモリ
メモリは計算したいモデルの大きさに依存するため、お勧めのメモリ量を一概に言及することは難しいですが、 大規模モデルを計算する予定がないのであれば
- 16 GB~128 GB
程度のメモリを積んだマシンを用意するとよいでしょう。
💡 ANSYS Fluentにおける、RAMメモリと解析モデル規模の関係
平均的には
RAMメモリ:1GB = 100万セル数
と言われています。
ハードディスク
ハードディスクは
- システム用(インストールする場所): 1 TBのSSD
- 保存用:8TBなど多めのHDD
のようにシステム用と保存用に分けるのがお勧めです。
GPU
GPUに関しては、一般のAnsys製品では、それほど制限はなく
- 最低1GBのメモリ
- OpenGL version 4.5以上
- 最近のNVIDIA QuadroやAMD Radeon Proがお勧め
とのことです。
📌 Ansys Discovery製品群は、GPUを多用しますので、ご注意ください。
- Ansys Discovery Modeling:メモリは最低2GB、推奨4GB以上
- Ansys Discovery Simulation:メモリは最低4GB、推奨8GB以上
ディスプレイ
17インチ以上のフラットパネルディスプレイがお勧めです。 また、作業効率を上げるために、デュアルモニターを使ってもよいでしょう。
マウス
マウスは、3ボタンマウスをご用意ください。 多くのグラフィック操作で、中ボタンは必須です。
弊社の解析事例
弊社の流体解析事例については、下記のリンクからご覧ください。