事例詳細/フランシス水車
水力発電に使用されるフランシス水車の流体解析事例をご紹介します。数値シミュレーションにより、高効率な水車性能の評価と最適化を実現します。
フランシス水車の流体解析
概要
水力発電は、発電する際に二酸化炭素をほとんど産出せず、クリーンなエネルギーの一つと考えられています。
水力発電に使われる水車は、水位落差、流量に応じて適切な種類が使われます。フランシス水車は、主として40~600mの落差に対し利用されており、適切な負荷運転では最高効率になります。
古くから水車は使われていますが、高効率な性能を発揮するためには数値解析によるシミュレーションが必要です。流体解析により、最適な形状設計や運転条件の検討が可能となります。
構造略図
フランシス水車の構造を以下に示します。ガイドベーン、ランナー、ドラフトチューブなどの各部材の役割を理解することが、効率的な設計の基本となります。

解析例
k-ω SST乱流モデルとスライディングメッシュを組み合わせた解析結果を示します。ランナーの回転を考慮した高精度な流体解析により、水車内部の複雑な流れ場を詳細に把握できます。

流跡線により、ガイドベーンからランナーを経てドラフトチューブへの水の流れ経路が明確に可視化されています。


解析から分かること
上記の例は、k-ω SST乱流モデルとスライディングメッシュの組み合わせ計算例です。計算結果に基づき、流入する流体エネルギーが回転運動エネルギーに変換された割合を効率として評価することができます。
流体解析により評価できる項目
- 水車効率:ガイドベーンの開度、流量などに依存する効率を評価
- キャビテーション発生箇所:圧力分布から気泡発生の可能性を特定
- 流れパターンの最適化:流跡線や速度分布から効率的な流路設計を検討
- 運転条件の最適化:様々な運転条件での性能評価
また、圧力が飽和水蒸気圧よりも低下すると、水中の気体が気泡となりキャビテーションが発生します。キャビテーションは機器の損傷、効率の低下につながることから、避ける必要があります。
計算で得られた圧力分布を調査することでキャビテーションの発生可能性のある箇所を特定することができます。設計段階での問題発見により、長寿命で高効率な水車の開発が可能となります。
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