流体力学メモ - レイノルズ数
流れ場を特徴づける重要な無次元パラメータであるレイノルズ数について解説します。慣性力と粘性力の比を表すこの値は、流体力学において流れの相似性を評価する上で欠かせない指標です。
レイノルズ数とは
流れ場を特徴づけるパラメータとしてレイノルズ数という無次元変数があります。このパラメータは、以下に示すように慣性力と粘性力の比を表しています。
レイノルズ数の定義
Re = 密度 × 流速 × 代表長さ / 粘度
≈ (慣性力) / (粘性力)
レイノルズ数の物理的意味
- 慣性力の指標:流体の運動量に関連する力
- 粘性力の指標:流体の粘性による摩擦力
- 流れの相似則:レイノルズ数が同じなら流れ場も相似
- 層流・乱流の判定:臨界レイノルズ数で流れの性質が変化
計算例:円柱まわりの流れ
例えば、直径20mmの2次元円柱に1m/secの標準大気の流れを当て、代表長さが20×10-3mだった場合、レイノルズ数はRe = 1370程度となり、2次元円の後方にカルマン渦が発生します。
計算条件
- 円柱直径:20 mm(0.02 m)
- 流速:1 m/s
- 流体:標準大気
- レイノルズ数:Re ≈ 1370(カルマン渦が発生する領域)


このレイノルズ数の範囲では、円柱後方にカルマン渦列と呼ばれる周期的な渦構造が形成され、物体に周期的な揚力変動を与えます。
レイノルズ数と流れの相似性
実は、流れ場を記述するナビエ・ストークス式を無次元化すると、このパラメータが現れるのです。もし、等温の流れで密度も一定としてよいのであれば、全ての流れ場はこの一個のパラメータで全て表現されることになります。
相似則の重要性
レイノルズ数が同一の流れ場は、流体力学の観点から見るとすべて同一なのです。すなわち、長さスケールや流速スケールが全く異なっていても、適切に基準値を取れば流速分布は同一になります。
具体例:パイプ内流れの相似性
たとえば、パイプ内を流れる流体を考えると、長さスケール、流速スケールが全く異なりますが、以下の二つの流れ場はレイノルズ数が同一であるため相似です。
レイノルズ数 Re = 1.17×105 の例
水の流れ
- 流速:1 m/s
- 管径:0.1 m(100 mm)
空気の流れ
- 流速:0.1 m/s
- 管径:8.84 m
この場合、適切に基準値を取れば、流速分布は同一になります。これが流体力学における相似則の威力です。
実務への応用
実際の現場の流れを評価したい場合、まずレイノルズ数がどの程度なのかを調べるのがよいでしょう。
レイノルズ数による流れの分類
- Re < 2300(層流):粘性力が支配的で流れは安定
- 2300 < Re < 4000(遷移領域):層流から乱流への移行
- Re > 4000(乱流):慣性力が支配的で流れは不規則
- 模型実験:実機と同じReで実験すれば相似な結果が得られる
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