事例詳細/水素拡散
部分開放空間での水素漏洩拡散のCFDシミュレーションを実施します。Hallwayモデルを用いて実験との比較検証を行い、水素安全対策の効率的な評価手法を提供します。
水素拡散シミュレーション
背景
水素は、利用時にCO2を排出しないクリーンなエネルギー源として期待され、燃料電池や事業用発電燃料として注目されています。しかし水素は、一定条件下で爆発する危険性があり安全対策が重要です。
水素安全評価の課題
開放された空間では多少の漏洩が生じても燃焼・爆発の危険は小さいのですが、密閉された建物やトンネルあるいは地下駐車場などでは、水素の漏洩と滞留の防止を評価することが重要です。
設備毎に実験で確認することは安全・コスト面からも困難であり、CFDの活用が有効な方法になります。このため本事例では、実際に水素を用いた拡散・集積実験として代表的なHallwayモデルといわれる部分開放空間への水素の漏洩拡散のシミュレーションを実施しています。
解析モデル

概要
この事例は、室内における漏洩水素の拡散の実験をCFDで再現したもので、ドア・天井にそれぞれ大気開放状態の換気口が設けられた部分開放空間に床面に設けられた流出口から体積流量=57l/minで濃度=100%の水素が流出します。
解析条件の詳細
- 水素流出量:体積流量57L/min、濃度100%
- 流出位置:床面に設けられた流出口
- 換気条件:ドア・天井の換気口から大気開放
- 浮力効果:流出した水素は浮力により上方に移動
- 混合・流出:天井の換気口から空気と混合して流出
また部分開放空間の周りにプレナムを設置しています。
計算結果
部分開放空間およびプレナム中の水素の体積分率図を示します。
図の濃赤色は空気100%を表し水色は水素の割合が高い状態を示しています。

時刻別水素拡散の特徴
- 時刻=60秒:流出した水素が天井に集積し天井換気口に向かう
- 時刻=200-400秒:ドア換気口から流入する空気の影響でドア換気口付近まで水素が広がる
- 時刻=600秒:床面から一様な高さまで水素が集積している状態
水素濃度の時間履歴

計算と実験の比較検証
本シミュレーションはAnsys Fluentで行っておりますが、論文等の実験結果と比較し近い結果を得られていることも確認できます。
CFDシミュレーションの有効性
従いまして、多くの実験ケースをシミュレーションツールが代替することで費用削減に寄与することもできると考えられます。水素安全評価において、CFDは実験の代替手法として高い信頼性を有する有効なツールです。
解析から分かること
解析から得られた知見
- 浮力効果の重要性:水素の軽比重により上方への集積パターンを正確に予測
- 換気システムの効果:ドア・天井換気口による空気流動と水素排出の評価
- 時間変化の把握:漏洩開始から定常状態までの拡散プロセスを詳細に追跡
- 実験検証の確保:Hallwayモデル実験との高い一致性を確認
- コスト効率化:危険性の高い水素実験をCFDで代替し安全かつ経済的に評価
- 設計指針の提供:換気システムや安全対策の最適化に活用可能
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