3D Gaussian Splatting とは ― 仕組みをやさしく解説
ハンディ型の3Dスキャナで空間を歩くだけで、写真のようにリアルな3次元データが手に入るようになりました。その中核にあるのが 3D Gaussian Splatting(3DGS)という技術です。
点群には隙間があるのに、なぜ 3DGS では面として見えるのか。その形は誰が決めているのか。そして、なぜスマートフォンではなく LiDAR を搭載した機材が必要なのか。数式を使わずに、順を追ってご説明します。
解説動画(6分45秒)
本ページの内容を、実際にスキャンしたデータをご覧いただきながら解説した動画です。
| 0:21 | まず実物をご覧ください |
|---|---|
| 0:53 | 従来の方法:点群 |
| 1:19 | 点を「膨らませる」 |
| 2:18 | 大きさと向きを持たせる |
| 2:54 | 写真と見比べて決まる |
| 3:35 | 見る方向で色が変わる |
| 4:18 | XGRIDS の特長:実際の寸法 |
| 5:03 | ワークフロー |
| 6:08 | まとめ |
1. 従来の課題 ― 点群には隙間がある
従来の3Dスキャンは、空間を点の集まりとして記録します。これが点群です。形は正しく測れますが、点と点のあいだには隙間があります。
離れて見ている分には問題ありませんが、近づくとその隙間が見えてしまいます。壁が壁として見えない ― ここが点群の弱点でした。
2. 点を「膨らませる」
そこで考え出されたのが、点を膨らませるという方法です。ひとつの点を、ふわりと広がった楕円に置き換えます。
中心はいちばん濃く、外側にいくほど薄くなる。この濃さの分布がガウス分布、つまりガウシアンです。隣どうしが重なり合うことで隙間が埋まり、点群では透けていた壁が、面として見えるようになります。
3. ひとつひとつに「大きさ」と「向き」を持たせる
ただし、すべてを同じ丸い形にすると、うまく表現できません。細い柱、平らな壁、細長い手すり。形はそれぞれ違うためです。
そこで、ガウシアンひとつひとつに大きさと向きを持たせます。平らな面には平たくつぶれたガウシアンを、細長い部分には細長いガウシアンを。これを異方性ガウシアンと呼びます。少ない数で、複雑な形をぴったり表現できるようになります。
各ガウシアンは「位置・大きさ・向き・不透明度・色」の情報を持っています。
4. 大きさや向きは「写真と見比べて」決まる
では、その大きさや向きは、どうやって決めるのでしょうか。人が指定するのではありません。写真と見比べて、自動で決まります。
まずガウシアンを適当に置いて絵を描き、実際に撮影した写真と比べます。ずれているところを見つけて、ガウシアンの位置や形、色を少し直す。この繰り返しによって、どの方向から見ても写真と一致するガウシアンの集まりができあがります。
5. 見る方向によって色が変わる
現実のものは、見る方向によって色が変わります。ガラスや金属の反射、つやのある床。正面から見たときと、斜めから見たときで明るさが違います。
そこでガウシアンは「ひとつの色」ではなく、「方向ごとの色」を持っています(球面調和関数による表現)。これによって、写真のような質感が生まれます。
ただし、この色の情報がデータの大部分を占めます。シミュレーションに使うときは形だけあればよいため、解析には色を持たない点群のほうが軽く、扱いやすいという関係になります。
6. XGRIDS の特長 ― 実際の寸法を持っている
スマートフォンでも、写真からガウシアンを作ることはできます。しかし、それには実際の寸法がありません。見た目は同じでも、その壁が2メートルなのか3メートルなのか分からないのです。
XGRIDS のスキャナは、レーザーで距離を測る LiDAR を内蔵しています。そのため、取得したデータには実際の寸法が入っています。
- 長さ・面積が測れる
- 図面が描ける
- シミュレーションの入力にそのまま使える
7. 一度のスキャンで、両方が手に入る
現場を歩いてスキャンすると、LiDAR が測った距離と、カメラが撮った写真の両方が記録されます。ここから、性格の異なる2種類のデータが得られます。
| 3D Gaussian Splatting | 写真のようにリアル。見せるためのデータ プレゼンテーション、合意形成、記録の共有 |
|---|---|
| 点群 | 寸法が正確。解析に使うためのデータ CFD・構造解析の入力形状、図面化、寸法計測 |
見せるためには 3D Gaussian Splatting、計算するためには点群 ― 一度のスキャンで、両方が手に入ります。
補足:本ページで簡略化した点
分かりやすさを優先し、以下は簡略化して説明しています。
- 「点を膨らませる」:実際には点群を初期値として最適化するため、最終的なガウシアンの数や位置は初期の点とは一致しません
- 「方向ごとの色」:球面調和関数の低次項による近似であり、鏡面反射のような高周波成分までは表現しきれません
- 「何万回もくり返す」:典型的には3万イテレーション程度です
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