実空間シミュレーション ― 3D Gaussian Splatting × 数値解析
3Dスキャナで取得した実空間のデータを、そのまま数値解析の計算対象として利用する ― RCCM は計算力学の専門企業として、スキャンから解析、そして結果の可視化までを一貫してご提供します。
CAD では再現が困難な樹木・電柱・看板・設備配管といった複雑な構造物を含む「現実そのままの環境」を計算領域とし、浸水・土石流・気流などの物理シミュレーションを実行。その結果を実写品質の空間に重ね合わせることで、専門家だけでなく施主・住民の皆様にも直感的にご理解いただける成果物となります。
従来手法の課題と、実空間シミュレーションの利点
課題
従来の数値解析では、まず CAD で解析モデルを作成する必要がありました。しかし実際の現場には複雑な構造物が多数存在し、これらを CAD で再現するには膨大な手間がかかります。結果として「解析はできるが、現実そのままの環境では試せない」という状況が生まれていました。
解決
3Dスキャナで実空間を計測し、取得した形状データをそのまま計算領域として利用します。現場を歩いてスキャンするだけで、解析の入力形状が用意できます。
結果
実写品質の空間に物理シミュレーションを合成。防災ハザードの可視化、風況評価、施工検討など、現場の実態に即した検討が可能になります。
解析ワークフロー
- ① スキャン:XGRIDS のハンディ型3Dスキャナで対象空間を歩行計測
- ② データ再構成:LiDAR 点群と画像から、点群および 3D Gaussian Splatting を生成
- ③ 解析形状の抽出:壁・地形・障害物を取り出し、STL やボクセルマスク、計算粒子に変換
- ④ 物理計算:SPH/LBM/MPM 等、対象に応じたソルバーで解析を実行
- ⑤ 可視化・合成:計算結果を実写品質の空間に重ね合わせ、動画として出力
※ 解析の入力形状には、幾何精度に優れる LiDAR 点群を用い、最終的な可視化には 3D Gaussian Splatting を用いる、という役割分担を採用しています。1 回のスキャンから両方のデータが得られるため、精度と表現力を両立できます。
デモ動画
実際にスキャンした空間で計算した事例です。いずれも映像加工ではなく、物理ソルバーによる計算結果です。画像をクリックすると YouTube で再生されます。
可視化から定量評価へ ― 土石流が建物に及ぼす圧力
実空間シミュレーションの価値は、映像による可視化だけではありません。同じ計算結果から、設計検討に使用できる定量的な数値を算出できます。
上記デモ動画②の土石流解析について、建造物の門に作用する合力を求め、土石流が接触している面積で除することで、単位面積当たりの力(圧力)として評価しました。
| ピーク圧力 | 約 90 kPa(1 m2 あたり約 9 トンの力に相当) |
|---|---|
| ピーク発生時刻 | 土石流の到達直後(t = 1.15 秒) |
| 持続平均圧力 | 約 11 kPa(t ≧ 2 秒) |
| ピーク合力 | 約 1,450 kN(接触面積 16 m2) |
到達直後に短時間の大きなピークが現れ、その後は 1 桁小さい値で持続する ― という土石流特有の荷重形態が確認できました。このような数値は、外壁・開口部の耐力設計や、防護壁などの対策施設の規模算定における検討材料としてご活用いただけます。
対応する解析分野
実空間の形状が重要となる分野に、幅広く適用できます。
- 防災ハザードの可視化:浸水ハザード、津波越流、内水氾濫、土石流、斜面崩壊
- 風況・環境評価:ビル風、歩行者快適性、ヒートアイランド、排ガス・排煙の拡散予測、煙突立地検討
- 室内環境:換気・空調シミュレーション、煙や粉塵の拡散評価、分煙効果の検証
- 施工・設計検討:建設現場の雨水排水、コンクリート打設フロー、大変形・土砂流動(MPM)
- 合意形成・説明資料:住民説明会や施主向けプレゼンテーション用の可視化コンテンツ制作
RCCM にご依頼いただける範囲
- スキャンから解析まで一貫した受託:現地計測、解析モデル化、シミュレーション、可視化動画の制作
- 解析のみの受託:お客様が取得された点群・3DGS データをお預かりして解析
- 解析モデル化の支援:点群から解析形状(メッシュ・ボクセル・計算粒子)への変換
- 3Dスキャナのご提供:XGRIDS 3Dスキャナの販売・導入サポート
解析ソルバーは、市販ソフト(Ansys Fluent 等)に加え、DualSPHysics(SPH)や自社開発の CUDA LBM ソルバーを用途に応じて使い分けています。ニュートン流体から、土石流のような非ニュートン流体(ビンガム流体)まで対応可能です。
技術解説・関連情報
- 解析手法の詳細(ビンガム流体のモデル化、圧力評価の考え方、LBM の計算条件等)は、技術ブログ「3D Gaussian Splatting × 物理シミュレーション ― 実空間を「丸ごと」解析する」にて解説しています。
- スキャナ本体の仕様・製品ラインナップは「XGRIDS 高精度・高画質 3Dハンディスキャナー」をご覧ください。
お問い合わせ
「この場所で、この現象を見てみたい」「取得済みの点群データを解析に使えるか相談したい」といったご相談を歓迎いたします。対象空間の規模や目的をお聞かせいただければ、実施内容・費用感をご提案いたします。
※ 掲載しているシミュレーション結果は技術検証を目的とした制作物であり、特定地点の災害・風況・流動を予測・保証するものではありません。
※ デモ動画④は縮約したレイノルズ数条件による定性的な可視化であり、抗力係数等の定量的な空力評価を目的としたものではありません。







