事例詳細/ビル風
都市環境における複雑な風の流れ場を数値シミュレーションで解析します。ビル建設前に風環境を予測し、快適で安全な都市空間の設計に貢献します。
ビル風のシミュレーション
概要
都市では複数のビルが密集して建設されており、ビル周囲の風の流れは複雑になっています。ビルなどの建物を建設する場合、ある方向から特定の風速が吹いた場合に建物周囲にどのような流れ場が生じるかを予め評価しておくことが重要です。
数値シミュレーションにより、ビル周辺の流れ、排ガスの拡散、粒子ダストの移動などの現象を把握することができます。これにより、都市計画や建築設計の段階で環境影響を評価し、より快適な都市空間を実現できます。
流れ場の支配方程式
大気の流れは乱流であり、平均流場を計算するためには乱流モデルを使います。乱流モデルにはいくつかの種類がありますが、ここではLES(Large Eddy Simulation)モデルを使って計算してみました。
LESモデルでは空間変動している物理量をフィルタを介して平均量に変換し、その平均量を計算することになります。非圧縮性のナビエ・ストークス式は以下のように変換されます。この乱流モデルでは大規模渦をメッシュで解像し、微細渦は渦粘度モデルによりモデル化します。
LESモデルにおける支配方程式
連続方程式:
運動方程式:
ここで、\(\tilde{u}_i\):1方向流速、\(\tilde{p}\):正規化圧力、\(\tau_{ik} = \widetilde{u_i u_k} - \tilde{u}_i \tilde{u}_k\):サブグリッドスケール応力
解析モデル
解析条件
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 入力風速 | 10 m/s |
| 対象領域 | 都市ビル群 |
| 乱流モデル | LES |
ビル群に風速 10 m/s の風が入ってくる場合を想定しました。都市環境における典型的な風速条件での解析を行います。

解析結果
地表10mの位置における流速分布
色は流速強度を表しています。ビル間での風の加速や減速、渦の形成が確認できます。

Q-criterionによる渦の可視化
Q=0.5の等値面で渦構造を可視化。色は流速強度を表し、ビル周辺での複雑な渦の形成が確認できます。

解析から分かること
高層建築物が林立する場所では風の強度が大きく変動するため、地表や低層、中層、高層での風の挙動を考慮する必要が出る場合があります。
解析から得られた知見
- ビル間での風の加速:狭い通路では風速が局所的に増大し、歩行者への影響が懸念されます
- 建物背後の渦形成:高層ビルの背後では大規模な渦が形成され、粉塵の滞留が発生する可能性があります
- 高さ方向の風速分布:地表付近と高層部では風の挙動が大きく異なり、設計時に考慮が必要です
- 環境アセスメントへの活用:建設前の風環境予測により、快適で安全な都市空間の設計が可能になります
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ビル風シミュレーションにより、建設計画の環境影響を事前に評価し、より快適な都市空間の実現をサポートいたします。












