流体力学メモ - 絶対圧とゲージ圧
圧力の表現方法には絶対圧力とゲージ圧力の2つがあります。基準点の違いによる2つの圧力表現について、標準大気圧との関係とともに解説します。
絶対圧力とゲージ圧力
圧力には、絶対圧力(真空の圧力を基準)と、ゲージ圧力(大気圧を基準)の2通りがあります。
絶対圧力
真空の圧力を0 Paとして基準とした圧力です。物理学的に厳密な圧力の定義であり、熱力学や気体の状態方程式などで使用されます。
ゲージ圧力
大気圧を基準にした圧力です。日常的な圧力計(ゲージ)で測定される値で、工学的な応用で広く使われます。
標準大気圧
水銀柱760 mmに相当する標準大気圧は、絶対圧力では101.3 kPaとなります。
水銀柱による大気圧の測定
試験管に水銀を満たし、逆さに立てると水銀柱は760 mmの高さで静止します。この高さが標準大気圧に対応します。
1標準気圧の等価表現
1.0 atm = 101.3 kPa = 760 mmHg
単位の説明
- • atm:標準大気圧(atmosphere)
- • kPa:キロパスカル(1000 Pa)
- • mmHg:水銀柱ミリメートル(トル)
絶対圧、ゲージ圧、大気圧の関係
絶対圧とゲージ圧、大気圧の関係は以下の式で表現できます。
絶対圧 = 大気圧 + ゲージ圧
この関係式の意味
- ゲージ圧 = 0のとき、絶対圧 = 大気圧(101.3 kPa)
- ゲージ圧 > 0のとき、大気圧より高い圧力(加圧状態)
- ゲージ圧 < 0のとき、大気圧より低い圧力(負圧・真空状態)

水銀柱の高さ760 mmが示すのは、大気が水銀に及ぼす圧力の大きさです。この古典的な実験により、目に見えない大気圧を視覚的に理解することができます。
実務での使い分け
圧力表現の選択基準
■ 絶対圧力を使用する場合
- 気体の状態方程式の計算
- 熱力学的な計算
- 真空度の表現
■ ゲージ圧力を使用する場合
- 圧力計による測定値
- 配管やタンクの圧力表示
- タイヤの空気圧など日常的な用途
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