Fluid Analysis流体解析

事例詳細/飛沫粒子拡散

インフルエンザやCOVID-19などの感染症における飛沫粒子の挙動を数値シミュレーションで再現します。フェイスシールドの効果を定量的に評価し、感染対策の有効性を科学的に検証します。


飛沫粒子の挙動のシミュレーション

概要

インフルエンザ、COVID-19などの感染症では、ウイルスがくしゃみなどの飛沫によって撒き散らされると言われています。飛沫の影響を受けないようにするためにソーシャルディスタンスをとること、また飛沫を放出しないようにするために、マスクをつけることが推奨されています。

ここでは、数値シミュレーションにより飛沫の挙動を再現してみました。部屋の中の人がくしゃみをした場合、フェイスシールドをつけることで飛沫粒子の移動方向を制限できることがわかりました。

くしゃみによる飛沫粒子の発生メカニズム くしゃみをする人 気流(4m/s) 飛沫粒子の特性 初速度:4 m/s(くしゃみの速度) 粒径:10 μm(飛沫核サイズ) 発生期間:0.5秒間 質量流量:6.7×10⁻⁵ kg/s 飛沫は気流に乗って拡散し、 重力と空気抵抗の影響を受けながら 室内を移動します くしゃみ1回で数千~数万個の飛沫粒子が放出される
くしゃみによる飛沫粒子の発生と初期拡散メカニズム

解析モデル

部屋内部に人が座っている場合を想定しました。時刻ゼロにおいて口から噴射されるとしました。15秒間の粒子挙動を計算してみました。

フェイスシールドの有無による飛沫拡散の違い フェイスシールド無し • 飛沫が前方に広く拡散 • 対面者への飛沫到達リスク大 → 感染拡大の可能性が高い フェイスシールド有り シールド 上部漏れ(7%) 下部漏れ(19%) 付着(74%) • 飛沫の前方拡散を大幅に抑制 • 上下の隙間から一部漏洩 → 対面者への感染リスクを低減 フェイスシールドは前方への飛沫拡散を効果的に抑制する
フェイスシールドによる飛沫拡散抑制効果の比較

飛沫粒子の挙動のシミュレーション解析条件

項目 項目
気流発生期間 0.5秒間 気流速度 4m/s
飛沫発生期間 0.5秒間 粒子初速度 4m/s
粒子質量流量 6.7e-5[kg/s] 粒径 粒径10μm
飛沫粒子拡散解析モデル
飛沫粒子拡散解析モデル(室内環境でのくしゃみシミュレーション)

バーチャルマネキンモデル提供: 九州大学 伊藤一秀先生


解析モデル(人物)

解析はフェイスシールドのある場合とない場合に対して行いました。フェイスシールドは顔面の前に置かれた非透過の壁になっています。なお、フェイスシールドの上部(額部分)はスポンジなどでの密閉は施されておりません。

フェイスシールド無し
フェイスシールド無し
フェイスシールド有り
フェイスシールド有り

離散相モデル(DPM)による飛沫粒子追跡 室内空間(連続相:気流場) 気流 粒子軌跡 粒子に作用する力 ① 抗力 気流による粒子移動 ② 重力 粒子の沈降 ③ 浮力 密度差による影響 ④ その他の力 圧力勾配、仮想質量力 連続相(Eulerian): 気流場をNavierStokes 方程式で解析 離散相(Lagrangian): 個々の粒子軌跡を 運動方程式で追跡 気流場と粒子の相互作用を考慮した高精度シミュレーション
離散相モデル(DPM)による飛沫粒子の挙動予測手法

解析結果

0.1秒後における顔付近の粒子挙動、および15秒後における部屋内部の粒子位置を示します。フェイスシールドがある場合、飛沫の前方への移動が妨げられているようすが分かります。なお、色は滞留時間を示しております。

0.1秒後における顔付近の粒子挙動

フェイスシールド無し 0.1秒後
フェイスシールド無し(飛沫が前方に拡散)
フェイスシールド有り 0.1秒後
フェイスシールド有り(前方拡散が抑制)

15秒後における部屋内部の粒子位置(動画)

※色は粒子速度を表示しております。フェイスシールドによる飛沫の拡散抑制効果を時系列で確認できます。

くしゃみ時の飛沫粒子の挙動シミュレーション ~フェイスシールドの効果検証~


解析結果から分かること

本解析では、マスク非着用の場合で、フェイスシールドの有無での飛沫の飛散を検討しております。

解析から得られた知見

  • フェイスシールド非着用(ノーガード)の場合:時間が経過するにつれ、飛沫は広く拡散していきます
  • フェイスシールド着用(上部開放)の場合:顔面上部や胴体・手足付近に飛沫が飛散する恐れがあります
  • マスクとの併用効果:マスクによる飛沫拡散抑制は周知されていますが、フェイスシールドを効果的に施すことで周囲への飛沫の拡散をより少なくさせる効果もあると考えられます
飛沫拡散シミュレーション解析プロセスフロー Step 1: 室内環境モデル構築 部屋形状・人体・フェイスシールド配置 Step 2: メッシュ生成 複雑形状に対応した高品質メッシュ作成 Step 3: 気流解析設定 • 乱流モデル(k-ε, LES等) • 境界条件(換気口、壁面) • 定常/非定常解析 Step 4: 粒子条件設定 • 粒径分布(10μm) • 初速度・発生条件 • 壁面付着・反発条件 Step 5: 非定常解析実行 0~15秒間の飛沫粒子挙動追跡(DPM) 結果①: 粒子分布 時刻別拡散状況 結果②: 付着割合 シールド・身体への付着率 結果③: 拡散評価 感染リスクの定量評価
飛沫拡散シミュレーション解析の実施プロセスと評価フロー

飛沫粒子の付着・拡散割合

フェイスシールドや人体に当たった粒子は、フェイスシールドや人体への付着条件となっています。今回の計算条件の3秒後はフェイスシールドや人体に74%は付着する結果となりました。またフェイスシールドの上下が空いていると26%は周りに移流するようです。

※計算条件が変われば、結果も変わります。お客様の環境に応じた詳細なシミュレーションも承ります。

フェイスシールドの条件 総粒子数に対する割合
フェースシールドまたは、人体に付着する 74%
フェースシールドの下から漏れる 19%
フェースシールドの上から漏れる 7%

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