事例詳細/静電塗装
静電塗装における流体・電位場・粒子運動を連成解析により数値シミュレーション。スプレーガンの最適移動条件と塗装品質向上により、VOC削減と環境負荷軽減を支援します。
静電塗装解析 FLUENT UDF使用例
概要
塗装は表面処理の一工程です。塗料は一般的にVOC(揮発性有機成分)が含まれており、環境保護の観点から様々なVOC削減技術が開発検討され、少量かつ均一に塗布する技術の確立も望まれています。
静電塗装(静電霧化方式)では塗装厚を均一にするため、最適な塗装条件(スプレーガンの移動条件、被塗物との間隔など)を求めることが必要です。この事例では、静電塗装プロセスで生じる現象をシミュレーションにより再現しました。
原理
塗装液は高速回転するアトマイザー先端のベルカップにおいて遠心力で薄く引延ばされます。その後カップの端部から放出されて霧化粒子(液滴)になります。
これらの液滴はアトマイザー周辺のシェーピングエアーにより被塗物方向に向かいます。さらに液滴粒子は帯電しているため、クーロン力の効果により効率的に被塗物に向かうように調整されます。

スプレー塗装をモデル化するためには、流れ場の方程式(NS方程式)、電位場の方程式、および液滴粒子の運動を記述する方程式を同時に計算する必要があります。
ノズルから噴射された帯電液滴粒子が生成する空間電荷は非常に小さいと考えられます。従って電位場はラプラス方程式を解くことで計算することができます。
ラプラス方程式
ここでは、φは電位を表しています。静電界は以下の式で計算されます。
静電界の計算式
• \(\vec{E}\): 電界ベクトル
• \(\phi\): 電位
スプレーガンは、強い負電位(これは規定値)で、被塗物は電位ゼロ(接地されている)として空間内の電位分布を計算することが出来ます。
液滴の運動軌跡は以下の方程式を解くことで計算されます。
液滴運動軌跡の方程式
各記号の意味:
- • \(m_i\): 液滴の質量
- • \(\vec{V}_i\): 液滴の速度ベクトル
- • \(t\): 時間
- • \(\vec{F}_D\): 液滴に作用する抗力
- • \(\vec{g}\): 重力加速度ベクトル
- • \(q_i\): 液滴の電荷
- • \(\vec{E}\): 電界ベクトル
液滴に作用する抗力は以下の様に表されます。
液滴に作用する抗力の式
各記号の意味:
- • \(\rho_f\): 空気密度
- • \(C_D\): 抗力係数
- • \(d_i\): 液滴径
- • \(\vec{U}\): 流速ベクトル
抗力係数:
レイノルズ数:
ここで、\(\nu\)は空気の動粘度を表します。
解析例
ここでは、表面形状が球面の金属容器の側面に対してスプレー塗装を行った例を示します。
スプレーガンは容器表面から一定の間隔離れた位置を移動します。またスプレーガンの軸は被塗物表面に垂直になるように変化しています。計算で得られた結果を以下に示します。
電位場及び電界ベクトル分布

VOC濃度コンター

液膜厚コンター

液滴粒子軌跡(側面拡大)
解析から分かること
解析から得られた知見
- 連成解析の有効性:流体・電位場・粒子運動を同時計算する手法の確立
- 塗装効率の最適化:スプレーガンの移動軌道と距離条件の最適化
- VOC減量技術:環境負荷を減らしながら品質を維持する手法
- 液膜厚分布予測:均一な塗装品質の確保と品質向上
- プロセス設計支援:数値シミュレーションによる設計パラメータの最適化
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静電塗装プロセスの数値シミュレーションにより、VOC減量と品質向上を同時に実現します。












