Fluid Analysis流体解析

事例詳細/エルボー曲管

エルボー曲管における固気混相流の浸食速度評価を数値シミュレーションで実施します。異なる粒径条件での粒子軌跡と浸食パターンを比較し、輸送パイプの設計最適化を支援します。

固気混相流によるエロージョン現象 気流 固体粒子 浸食箇所 浸食メカニズム ①粒子が壁面に衝突 ②衝突角と速度で  浸食速度が決定 ③材料損傷により  配管寿命が低下 固体粒子の壁面衝突により配管内壁が浸食される現象
固気混相流における粒子衝突と壁面浸食メカニズム

エルボー曲管における浸食速度の評価

固気混相流とエロージョン現象

流体と固体粒子が混合して流れている流れは固気混相流と呼ばれており、この様な流れの応用例として樹脂ペレットを空気で圧送する輸送パイプが挙げられます。

輸送パイプ内で固体粒子負荷量が多くなると固体粒子がパイプ内壁面に衝突して壁面が浸食されることになりますので、輸送パイプ内の固気混相流では輸送効率と浸食速度を正確に評価することが重要になります。

3段90度エルボー曲管の構造 入口 浸食1 第1段 第2段 浸食2 第3段 浸食3 出口 各曲管部で粒子が外壁に衝突し浸食が発生
3段90度エルボー曲管の配管構造と浸食発生箇所

浸食速度の評価理論

パイプ内壁面の浸食速度Rは、以下の式で表されます。

$$R = \sum_{p=1}^{N_p} \frac{\dot{m}_p \, C(d) \, f(\alpha) \, v^{b(v)}}{A_{face}}$$

パイプ内壁面の浸食速度評価式

各記号の意味:

  • • \(R\): 浸食速度
  • • \(\dot{m}_p\): 粒子重量
  • • \(C(d)\): 粒径の関数
  • • \(f(\alpha)\): 衝突角の関数
  • • \(v\): 相対粒子速度
  • • \(b(v)\): 相対粒子速度の関数
  • • \(A_{face}\): フェースセル面積

評価式から分かること

この評価式から浸食速度は固体粒子の特性と流れ場の特性に依存することが分かります。

粒径の大小(これはストークス数により評価されます)に応じて粒子の軌跡は変化し、また粒子の運動は流体の流れに影響を及ぼすことになるため、浸食速度を正確に評価するためには粒子の運動と流体流れを同時に評価することが必要です。

粒径による粒子挙動の違い(ストークス数の影響) 粒径が小さい場合(ストークス数:小) 流れ追随挙動:小粒径では流体の慣性力が支配的 • 粒子は流線に沿って移動し、流れに追随 • 曲管外壁への直接衝突は少ない → 浸食速度:低 粒径が大きい場合(ストークス数:大) 衝突! 慣性支配挙動:大粒径では粒子の慣性力が支配的 • 粒子は直進性が強く、流れから逸脱 • 曲管外壁に高速で衝突 → 浸食速度:高 ストークス数 = (粒子応答時間) / (流体特性時間) により粒子挙動が変化
粒径によるストークス数の違いと粒子軌跡への影響

解析条件と結果

以下に、3段の90度エルボー曲管を対象として、空気と固体粒子を流した場合のパイプ内壁面の浸食速度を評価した結果を示します。固気混相流解析は粒径が大きい場合と小さい場合の2ケースについて行いました。

粒径が大きい場合には粒子は流れの影響を受けずに直線的に移動するのに対して粒径が小さい場合には粒子は流れに追随して移動しており、浸食速度分布も異なることが分かります。

浸食速度分布の比較

エルボー曲管の浸食速度分布
3段エルボー曲管における浸食速度分布

粒径による粒子挙動の違い

粒径の違いによる粒子の流動パターンと浸食への影響を動画で比較します。ストークス数の違いが明確に確認できます。

粒径が小さい場合の粒子挙動
粒径が小さい場合(流れに追随する挙動)
粒径が大きい場合の粒子挙動
粒径が大きい場合(慣性により直線的な挙動)

解析から分かること

解析から得られた知見

  • 粒径による挙動の違い:小粒径は流れ追随、大粒径は慣性支配の運動特性
  • 浸食パターンの予測:粒子軌跡の違いにより浸食箇所と強度が変化
  • ストークス数の重要性:粒子特性評価による最適設計条件の導出
  • 配管設計への応用:曲管部での浸食予測により配管寿命を延長
  • 輸送効率の最適化:浸食リスクと輸送効率のバランス設計が可能
固気混相流エロージョン解析のプロセスフロー Step 1: モデル作成 エルボー曲管の3D CADモデル作成 Step 2: メッシュ生成 流体領域の離散化(壁面付近は高密度メッシュ) Step 3: CFD条件設定 • 流体: 空気(連続相) • 粒子: 離散相モデル(DPM) • 乱流モデル: k-ε, k-ω等 Step 4: 浸食モデル設定 • 浸食速度式の選定 • 粒径・密度・材料特性 • 衝突角度関数の設定 Step 5: CFD計算実行 流れ場と粒子軌跡の連成解析(Ansys Fluent等) 反復 収束 結果①: 粒子軌跡 粒径別の挙動可視化 結果②: 浸食速度分布 壁面浸食マップ 結果③: 最適設計 配管形状・材質改善
固気混相流エロージョン解析の実施プロセスと評価フロー

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