事例:ウォーターハンマー
解析モデルの概要とシステム構成
ここではポンプトリップに起因する水柱分離によって発生するウォーターハンマー(水撃作用)のモデル化とその対策の効果を示します。図 1にシミュレーションの操作用画面を示します。画面中央下側にポンプと逆止弁があり、パイプラインが40m起ち上がります。その後、約11.5°の傾斜で100m、約1.5°の傾斜で200m、そして大気圧の環境に水が放出されます。ベンドの部分にはサージタンクが接続されています。また、ジャンクションの部分では軸荷重と曲げ荷重が計算されます。操作用画面の元になっているネットワークモデルを図 4に示します。

図 1 ウォーターハンマーのモデル化
圧力変動の解析(サージタンク無効)
サージタンクを無効にした場合のパイプライン内の圧力変動を図 2に示します。ピークの圧力は1200kPaを超えています。また、圧力降下時には負圧が発生しています。

図 2 パイプラインの圧力変動(サージタンク無効)
圧力変動の解析(サージタンク有効)
サージタンクを有効にした場合のパイプライン内の圧力変動を図 3に示します。サージタンクの効果により、圧力ピークと負圧の発生が抑制されていることが確認できます。

図 3 パイプラインの圧力変動(サージタンク有効)
Flownexによるネットワークモデル
Flownexによるネットワークモデルを図 4に示します。ビジュアリゼーション機能を用いて、この画面を元に図 1の操作用画面を作成しています。

図 4 ネットワークモデル
可変容量ポンプの性能曲線
可変容量ポンプの性能曲線を図 5に示します。体積流量に対する揚程とポンプ効率を設定しています。キャビテーションの評価が必要な場合はNPSHも設定することができます。

図 5 可変容量ポンプの性能曲線
パイプのプロパティ設定
パイプのプロパティ設定画面を図 6に示します。圧力波を正確に捉えるために、パイプの管厚とヤング率を設定して軸方向に離散化しています。また、水には体積弾性率を設定しています。

図 6 パイプのプロパティ設定画面
パイプの計算結果
パイプの計算結果画面を図 7に示します。パイプの入口出口の圧力差と速度差を用いて、パイプにかかる荷重を計算しています。

図 7 パイプの計算結果画面
Flow Solverのパラメータ調節
計算精度や収束安定性を高めるために、Flow Solverのパラメータを調節しています。

図 8 Flow Solverのパラメータ調節画面
シミュレーション動画
ウォーターハンマーのシミュレーション結果を動画でご覧いただけます。



















