Fluid Analysis流体解析

流体力学メモ - 定常流・非定常流

流れの時間変化に着目した分類である定常流非定常流について解説します。流体解析において重要な概念であり、解析手法の選択にも影響する基本的な考え方です。


定常流・非定常流とは

流れの速度・圧力・密度・方向・流量等が時間経過しても一定の状態を保ち、変化しない場合、定常状態と呼ばれ、流体分野では定常流となります。また、時間変化する場合非定常流となります。

定常流(Steady Flow)

流れの性質が時間によって変化しない状態です。

  • 速度が時間的に一定
  • 圧力が時間的に一定
  • 密度が時間的に一定

非定常流(Unsteady Flow)

流れの性質が時間によって変化する状態です。

  • 速度が時間的に変化
  • 圧力が時間的に変化
  • 密度が時間的に変化

定常流の特徴

定常流の流れパターン
定常流の流れパターン(時間が経過しても流れ場は変化しない)

定常流の例

  • 一定流量の配管流:流量が一定に保たれた状態
  • 定常運転中の機器:一定速度で回転するポンプやファン
  • 等速直線運動の物体まわりの流れ:移動速度が一定の場合

非定常流の特徴

非定常流の流れパターン
非定常流の流れパターン(時間とともに流れ場が変化する)

非定常流の例

  • カルマン渦:円柱後方に周期的に発生する渦
  • バルブ開閉時の過渡流れ:流量が時間的に変化
  • エンジンの吸排気流:ピストン運動による周期的変動
  • 津波や高潮:時間とともに変化する自然現象

流体解析における非定常計算

流体の非定常挙動をシミュレーションをする場合、時間ステップ数が過大になる場合があり、全てを網羅することは設備・コスト等の関係上非常に難しい場合があります。

非定常解析の課題

  • 計算時間:多数の時間ステップが必要で計算コストが高い
  • データ量:各時間ステップで結果を保存すると膨大な容量が必要
  • 時間刻み幅:適切な時間刻み幅の設定が重要

RANSモデルと時間平均

なお、RANS(レイノルズ平均ナビエストークス)方程式を用いた乱流計算では、微細な非定常変動を時間平均した流れ場を計算します。従って、RANSモデルを使った計算は、非定常乱れ変動を時間平均した平均流を求めることができます。

RANSモデルの特徴

RANS(Reynolds-Averaged Navier-Stokes)

レイノルズ平均ナビエ・ストークス方程式。乱流の微細な変動を時間平均することで、平均流れ場を計算する手法です。

  • 時間平均:微細な乱流変動を平均化
  • 計算効率:非定常変動を直接解く必要がないため効率的
  • 適用範囲:工学的な多くの問題で十分な精度

その他の乱流モデル

  • LES(Large Eddy Simulation):大きな渦を直接計算し、小さな渦をモデル化
  • DNS(Direct Numerical Simulation):全ての渦構造を直接計算(最も詳細だが計算コストが膨大)

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